彼女の腰に手を触れて引き寄せた。
彼女のからだはすんなりと仰向けの姿勢に寝返った。
からだの全てを任せよう…という女の姿勢だと思った。
(そうなんだ…。彼女も受け入れる気になっているのだ…)と思った。
思い切って彼女の首下に腕を伸ばして腕枕をし抱き締めた。
彼女は、すんなりと抱かれてきた。しめた…私は思った。
からだは妻よりかなり小柄だが全体が締まっている。可愛いらしいという思いを肌で感じた。
彼女の柔かい太腿に脚を絡ませ、尻朶にそっと優しく手を這わせる。
彼女はかすかに身体を横向きにして背を向けた。
女の急所に触れられるのを恥ずかしがっているようだった。
私は彼女にからだを寄せ、横向きになり、背後から彼女の脇ごしに胸の膨らみに手を添える。
改めて彼女の胸もとから下腹にゆっくりと手を這わせた。その手は、ついに彼女の膨らみの丘に触れた。
彼女の背を抱き締め、焦らずに女が潤むのを待つ。
彼女の緊張をほぐして、女の性感の昂ぶりに仕向ける。
彼女の心を和ませようと、いつもの順序で優しい愛撫を試みた。
その反応を妻と比べてみたかった。唇に触れ、耳、頬、首筋、肩、乳房の膨らみ、
脇腹、局所を避けて太腿の裏、内側を攻め、太腿の内側を下から局所に向かって擦りながら、
局所が昂ぶるように仕向けた。女の柔肌だった。彼女の乱れが妻とどのように異なるか、
その変化が見たい好奇心に湧いた。 既にこの愛撫に三十分の時間をかけていた。
ついに彼女の膨らみの丘に指が触れた。だが、薄いショーツの上からの愛撫なのだ。
彼女の昂ぶりを、少しでも焦らせようとする。
からだは妻よりかなり小柄だが、股間はかなりの皮下脂肪で膨らみが豊かだ。
半球形のボールの一面に触れている感じだ。妻のそこより膨らむ土手は高い。
弾んでいる。薄いショーツの上から亀裂と蕾の部分を意識して擦り続けた。
彼女はジットしているものの、宙を彷徨うように微かに揺らめいているのか、次第に閉じた太腿が緩んでいくのだった。
彼女は、三十六歳の時に離婚し、それから再婚していない。
彼女に、男のものを知らさせようと、彼女の手を取って、股間の硬くなったものに触れさせた。
彼女がどのような反応を示すのか、好奇心を抱いた。女のその手は男を軽く握りしめ、恐る恐る遠慮した動きを示した。
おそらく、久しぶりに男のものに触れ、感じ、興奮が昂ぶったのだろうと思った。
薄いショーツの上から彼女の内襞を愛撫して、かれこれ十分が過ぎた。
思い切ってショーツのゴムに手を潜らせた。柔らかい陰毛に触れる。
陰毛は妻よりも豊富のように感じた。ショーツを脱そうとずらしていく。
それに彼女が腰を少し持ち上げて協力してくれた。
全く何も着けていない下半身が布団の中に横たわった。
興奮で男がはち切れそうに漲り聳え立った。中指の腹が亀裂に滑り込んだ。
これまで愛撫にかれこれ四十分かけたが、女の潤みはまだ少なかった。
初めての男性に硬くなって緊張しているのだと思った。
午後十一時十分。 あまり潤んでいない。高齢化なのか…。
初めての男への羞恥と、長い間、男のものを受け入れていないことから、
膣が萎んでいて、男の硬い物が受け入れられないのではないか…
という不安に怯えているのではないかと思った。
潤みを補強しようと指先に唾液を付けて彼女の内襞に差し込んだ。
彼女の動きを妻の動きと比較しながら内襞を愛し続けると、やがて両方の太腿を絞り込んでききた。
彼女の不安と羞恥を和らげさせようと
「無理しないから、大丈夫…。こうして触れているだけでも満足なのだから…」と云った。
その言葉が効いたのか、彼女が多少、控えめながらもからだを捩りだしてきた。
潤みの少ない彼女の陰部に唾を付け、硬くなった陰茎の亀頭にもたっぷりと唾を付け、
そっと彼女の柔襞に擦りつけた。無理しないように亀頭部分を埋め込み、ゆっくりと進ませた。
その瞬間、彼女の顔が歪んで痛みで苦しむ表情に変わった。
「…痛かった…ごめん…無理してごめんなさい…」と云った。
硬い陰茎がまだ開かれていない穴に入ろうとしている。
長い間、男を迎入れていないせいか、女の高齢化なのか、なかなか入らない。
顔は痛そうな表情だ。ゆっくりと時間を掛け少しづつ押し込めた。どうにか全部埋め込むことが出来た。
彼女の顔の表情を、薄闇に見詰めながら律動を繰り返した。
快感に歪む顔の表情が妻の表情とどう違うのか、関心を持って見詰めた。
また、こんなことも思った。
彼女が三十六歳の時に主人と別れてから今日まで、何人かの男性に抱かれていたのだろう…。
彼女も、今、過ぎ去ったこれらの男性との性交を比較をしているのでは…と思った。
自分とて、妻と比較しながら彼女を愛撫し、律動を繰り返しているのだから…。
そんなことを思うと、余計に彼女を抱きしめる腕と腰に興奮が漲り、
彼女の顔の表情を見詰めながら、ゆっくりと彼女の奥を突き上げて律動を繰り返した。
彼女に繋いで、もう十五分は抜き差ししている。
優しく律動を繰り返しながら、慎ましく快感に反応しはじめた彼女の歪む顔の表情を見詰めてた。
もう彼女も九合目には達しているのだろう。ここらでフィニッシュしようか…
とも思った。絶頂を予告するように、彼女を強く抱きしめ、激しく彼女の奥を突き上げて「もうダメ!…」と予告した。
最後の力を振り絞って激しく突き、「イク…」と呻きながら、粘い白濁を彼女の奥をめがけて噴射していった。
彼女のからだは最後まで乱れることはなかった。慎ましく淑やかな受け身一筋だった。
乱れや呻き声もないままに、静かな律動のうちに終局を迎えた。
彼女とは初めての結びつきであり、古風な男と女の保守的な節度と慎みが保たれた静かなセックスだった。
彼女もおそらく、久しぶりに、男の硬く太い肉棒を埋め込まれ、男の肌を感じたことだったのだろう。
終わって私は彼女の耳元で「よかった…ありがとう…」と感謝とねぎらいの囁きをかけた。
時計は、午後十一時三十分を指していた。前技四十分、本番二十分の約一時間、彼女を愛し続けた。
妻と彼女との性交にそれぞれに違いがあった。
妻とは静かな動きの中で終わっていくが、今夜の彼女は、初夜のときのように、羞恥心と、
慎ましい淑やかな動きの中に、絶頂に達したかどうかわからないままに終わった。
しかし彼女も、久しぶりに男の硬い肉棒を受け入れて満足したのだろうか、
やがて、彼女の軽いイビキも聞こえてきた。
外は音もなく、まだ雪が降り続いているようだった。穏やかな気持ちで眠りについた。
目が覚めると窓は雪で薄明かりとなっていた。
時計は六時半だった。雪は止んでいた。横には妻でなく彼女が眠っていた。
背を向けて「くの字」に眠っている彼女の寝姿を見て、昨夜の情事が甦る。
そっと近寄って彼女のからだにより添っていくと、彼女はすんなりと身を委ねてきた。
たった一回の情事が、ここまで男と女の関係を近づけるものかと思いつつ、
彼女を抱き締めて唇をつけ、乳房を揉み、更に膨らみの丘に手を這わせた。
夜明の薄明かりの中で、彼女の濡れそぼる肉襞に硬い肉棒を埋めていく。
繰り返される律動に、次第に愛欲に溺れ歪んでいく彼女の顔の表情をつぶさに見つめながら、
律動を繰り返した。昨夜と違って彼女の動きもあり、腰を捩る女の肉襞に強く絞り込まれ、
肉棒から噴き出される白濁が彼女に注ぎ込まれていった。
朝の情事によって二人の間は、急速に深まっていくのだった。
朝九時、情事に溺れた思いを残して旅館を後にした。
県境の長いトンネルを抜けると、そこからは南斜面を国道は下っていく。
雪質も柔らかく、車が南へ十キロも下ったところからは道路には雪がなくなっていた。
タイヤチエンを取り外すと車が軽くなったように心地よく走り出す。
一時間も走ると車は山間のラブホテルの並ぶ峠にさしかかった。
もう一度、二人の想いを残そうと誘いかけたが、彼女は、
「今日は、もう、よしましょう…、またにしましょう…」と断ってきた。
駅前で車を止めて彼女と別れた。思いもよらぬ還暦同窓会の帰り道だった。